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22.08.26

プロダクト・ポートフォリオ・マネジメント(PPM)とは?

 

「このプロダクトを今後発展させていきたい…」「プロダクトの戦略方針を定めたい…」事業の展開や戦略を検討するにあたり、問題解決につい調べると様々なフレームワークが出てくるかと思います。その中でも今回は、「プロダクト・ポートフォリオ・マネジメント(PPM)」について、わかりやすく解説していきます。

PPMとは何か、具体的な手法を知って自社のプロダクト事業の最適化にぜひ活用してみてください。

プロダクト・ポートフォリオ・マネジメント(PPM)とは?

プロダクトポートフォリオマネジメント(PPM)とは、1970年代にボストン・コンサルティング・グループ社(BCG)が提唱した経営分析の手法の一つです。

正式名称は「Product Portfolio Management」。プロダクトは「製品」、ポートフォリオは金融業界用語の「組み合わせ」を意味します。

つまり、PPMとは「企業が展開する複数の製品・事業組み合わせをまとめて分析し、今後の事業方針を検討する」手法という意味になります。企業が複数のプロダクトを取り扱っている場合、掛けられる人材や資金には限りがあり、どのプロダクトにどの程度の経営資源を割り当てるか、という点はとても重要です。PPMは市場成長率と市場占有率を基準に、事業を4つの項目に分類します。

また、4つの項目に分類するというわかりやすさから、多くの企業で現在も取り入れられているフレームワークになります。

4つの項目に分けられる

PPM分析では市場成長率と市場占有率を基準に、4つの項目に分類します。市場成長率とは、前年度と比較した市場規模の成長率。市場占有率は商品の売上や市場規模から見た市場シェアの割合を意味します。

項目にはそれぞれ、下記の名称が付けられています。

・花形:star
・金の成る木:cash cow
・問題児:Question Marks
・負け犬:dog

 

特徴的な名前から、読んだだけでも事業状態のイメージができるのではないでしょうか?

これらに分類することで、「現状利益を出しているプロダクトはなにか」「投資が必要なプロダクトは何か」「全体的なバランス感」の3つを分析することができます。

続いて、項目ごとの特徴をわかりやすく解説していきます。

 

花形「市場成長(高) × 市場占有率(高)」

花形は、成長率と占有率共に高い、伸び盛りの状態です。成長率の高い市場は企業にとって魅力的であり、多くの競合によって、市場競争が激しくなります。

プロダクトのライフサイクルでは、「導入期・成長期」にあたります。そのため、成長率・占有率ともに伸び盛りの状態であり収入も大きい反面、設備投資や開発費など多額の追加投資を必要とします。

花形の課題は、市場占有率を維持・拡大しつつ「金のなる木」へと育て、安定的な収益をあげることです。ただし、市場占有率が低下すると市場競争での負けを意味するため、「負け犬」となってしまいます。

このように、市場が活発であることから、収益を上げることや占有率を拡大しやすい事業ですが、成長投資を継続しないと競合にシェアを奪われてしまう可能性も少なくありません。

 

金のなる木「市場成長(低)×市場占有率(高)」

金のなる木とは、市場の成長は低い状態で、高い市場占有率を上げている状態です。成長率の低い市場とは、すでに需要がピークに達しているということです。そのため、新たに参入する企業は少なく、市場競争が起きにくいことから、積極的な投資が必要ありません。

プロダクトのライフサイクルでは、「成熟期 – 衰退期」にあたります。市場はすでに成熟局面にあり、追加的な投資もあまり必要なく、安定的な収益が望める企業にとっての稼ぎ頭です。

金のなる木の課題は特になく、多くのプロジェクトは最終的に「金のなる木」を目指します。また、この項目の特徴として、得られた収益を他の投資が必要な「花形」や「問題児」にあてられる場合が多いです。

 

問題児「市場成長(高) × 市場占有率(低)」

問題児とは、市場成長率は高い一方で、市場占有率が低い事業です。一般的に、売り出し初めの製品やスタートしたばかりの事業が当てはまります。市場成長率の高さから、多くの競合があり市場競争が激しく、利益が出にくい状態です。

プロダクトのライフサイクルでは、「導入期 – 成長期」にあたります。そのため収益が少ない反面、今後の将来性を考え、設備投資や開発費など多額の追加投資をする必要があります。

問題児の課題は、継続的に投資を行い、市場占有率の獲得をすることで「花形」へと育てることです。また、花形と同じく、市場占有率が低下すると市場競争での負けを意味するため、「負け犬」となってしまう可能性があります。

 

負け犬「市場成長(低) × 市場占有率(低)」

負け犬とは、市場成長率が低く、市場占有率も低い事業です。利益を上げることができないまま、市場競争に負けたことを意味し、早急な撤退が検討されるべき状態です。

プロダクトのライフサイクルでは、「成熟期 – 衰退期」にあたります。投資の継続をした場合も事業の発展・拡大は期待が難しく、その分を他の事業に分配した方が企業の成長へとつながりやすくなります。

また状況によっては、事業の売却などを行い得た資金で他の「問題児」「花形」など多くの資源が必要な事業に充てることで、次の事業の成長を目指す場合もあります。

PPMのメリット・デメリット

PPM分析の目的と特徴について解説してきました。

続いて、メリットやデメリットについてもみていきましょう。

PPMのメリット

PPM分析のメリットは大きく2つあげられます。

・自社の製品や事業を客観視できる
・事業判断のミスを防ぎやすい

 

自社の製品や事業を客観視できる

PPM分析は、4つの項目に分類することで、プロダクトの現状を可視化します。そうすることで、「成長を見込んで投資に力を入れるべき事業」「撤退・縮小を検討するべき事業」などの情報を客観視することができます。

合わせて、積極的に投資するプロダクトがわかるだけではなく、プロダクトごとにどの程度の経営資源を割り振るかも分析でき、経営資源の分配を行いやすくなります。

「プロダクト数が多く、どのプロダクトに力をいれるべきか判断に迷う」「経営資源に限りがあり、無駄なく適切な分配が必要」といった場合におすすめの手法となります。

 

事業判断のミスを防ぎやすい

PPM分析では、数字以外の視点から経営判断のためのデータを提示することができます。

単純なプロダクトの損益を基準にした場合、今後の発展の可能性がある事業を見落としてしまったり、不要な投資をおこなってしまう可能性があります。その点、PPM分析では市場成長・市場占有率という損益上では把握しづらい、「将来性」という指標を取り入れることができるのです。

また、上記で解説したとおりデータを可視化・客観視することができるため、経営判断の場でのスムーズな情報共有にもつながり、事業判断のミスを防ぐことにもなります。

 

PPMのデメリット

デメリットについても大きく2つあげられます。

・事業間の関係を考慮できない
・破壊的なイノベーションを見落とす

 

事業間の関係を考慮できない

第一に、プロダクトを個別に市場成長・市場占有率から分類する特徴から、関連したプロダクト同士の関係性を考慮することができない、という点が挙げられます。

例として、「お花も買えるカフェ」というコンセプトのお店があるとします。

売上としては、カフェ事業が8割、生花販売事業が2割と考えます。この時、「花形」や「金のなる木」にあたるのは、メインになるカフェ事業の部分です。対して、生花販売事業は「負け犬」や「問題児」に区分されます。その際に、「負け犬」や「問題児」の部分を切り捨てるとどうなるでしょう。店舗のコンセプトが崩れてしまう他、コンセプトによって「花形」や「金のなる木」となっていた飲食部分が衰退してしまう恐れもあります。

このように、PPM分析では「負け犬」や「問題児」にあたる事業が他の事業に貢献している関連性を、うまく分析することができない場合があります。

 

破壊的なイノベーションを見落とす

続いて、PPM分析には「破壊的なイノベーション」の可能性を考慮することができない、という点が挙げられます。

破壊的なイノベーションとは、これまでの価値観や通例を根本から変化させるほどの圧倒的な技術革新のことです。

わかりやすい例を挙げると、Apple社のiphoneの開発・参入が当てはまります。

通話とメールといった単なる連絡ツールでしかなかった携帯電話が、「高速データ通信の実現」と「アプリケーションの追加」によって、大きく変化しました。それまでの携帯電話市場は、新たに参画する企業にとって、市場成長率が低く相対的市場シェアも低い「負け犬」の状態でした。その中でAppleは「新しい形の携帯電話」というイノベーションを起こしたのですが、これをPPM分析では予測することはできませんでした。

このように、PPM分析は、市場成長率と市場占有率という2点だけで事業の可能性を判断するため、それ以外の要素を見落としてしまう危険性があります。

PPM分析の方法を理解し、経営戦略に役立てよう

今回は、複数の製品・事業の組み合わせを、まとめて分析し、今後の事業方針を検討する手法であるPPM分析について解説しました。

PPM分析は、売上などの数字だけでは把握が難しい、製品の現状や市場での立ち位置を確認することができます。しかしながら、デメリットもあり、PPM分析単体での経営判断は難しいといえます。実際にPPM分析を使用する場合は、正しい活用法を理解し、適切に導入し経営戦略にお役立てください。

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